NO.1「かやぶきの里」

雪深い越後の新潟県柏崎市高柳町の「かやぶきの里」には、約20戸のかやぶき屋根の家が1.3㌶の田んぼの周りに、まるで防風林のように立ち並んでいる。環状集落とも呼ばれ、古い農家集落の原型を残し、今なお現役の貴重な遺産である。きれいな雪景色の集落を撮ろうと訪れた時は、雪が中々降らず滞在3日目にやっと降り出し、一夜明けると素晴らしい光景が生まれていた。早朝、雪面に杉の大木の影が延びているのが印象的だった。20戸の内2棟は宿泊もできる交流施設になっており、今、この里は町お起しの主役としてふるさとに貢献している。
大雪でも路面は消雪パイプで雪がとけ、地元では「マンゲ」と呼ぶミノ帽子をすっぽり被った主婦たちが足取りも軽く歩いていた。一晩に何十センチも降る雪には、一昔前までは悩みの種だった。今、除雪の主役は50年も前に誕生した消雪パイプ。道路中央から噴き出る水が、あっという間に雪を解かす。越後ではどんなに雪深い集落にも張りめぐらされ、雪国を活気づかせる源になっている。イグサなどを材料にして織ったマントのようなミノ帽子は雪国の風物詩だったが、便利で手軽な防寒着が次々と生まれ、今ではほとんど姿を消した。わらぶき家屋を町おこしにしているここではまだ使われており、雪にとても合う風情を醸し出している。

新雪や かやぶき屋根も やわらかく

☆ミノ帽子 かやぶきの村に 風情あり