NO.4「銀山温泉」

山形県尾花沢市銀山温泉は、500年前から銀山で働く鉱夫たちが疲れを癒すために利用していた。今は湯治場としての役目を引き継ぎ、通年、宿泊客でにぎわう。銀山温泉の町並みは大正時代にタイムスリップしたかのような情緒を持つ13軒の宿が銀山川を挟んで建ち並ぶ。温泉一の老舗宿で国登録有形文化財の「能登屋旅館本館」は、1925年ごろに完成した。NHKの人気ドラマ「おしん」の撮影舞台にも使われたように、川沿いのガス灯と共に映画のセットかと思わせる風情がある。山形新幹線の開通、秘湯ブームなどで観光客はこの20年で倍増。女将たちの結束も強く、米国出身の女将もおり、公共広告機構の国際化キャンペーンCMに出たり、様々な工夫をして人気を呼んでいる。
雪に埋もれた銀山温泉を撮影しようと訪れた年は小雪だったが、たまたま撮影に出かける前日から降り始め、積雪も50cm以上になっていた。能登屋の17代女将は宿泊客の部屋を全て訪ねて挨拶する。「昨日までは雪は無かったのですよ。お客さんは運がいいですね」と言われた。暖かいガス灯が点灯すると、大正ロマンが漂う。そんな温泉街の夕景を撮る頃にはまた吹雪になったが、散歩に出てくる宿泊客が沢山いた。

☆吹雪でも ガス灯似合う 老舗の宿