NO.5「千曲川スケッチ」

自然主義文学の島崎藤村は「千曲川のスケッチ」で、信州の冬の厳しさを書いている。藤村は川船で飯山を訪れたが、今は川船はない。JR長野駅から飯山線に乗り換え、飯山駅で降りると猛吹雪で先が見えないほどだった。防寒着、手袋、帽子と寒さ対策の完全装備で千曲川まで約1km歩いた。赤い中央橋が目に入る。吹雪でも良く見えるように赤くしたのだろうか。橋の両脇に歩道があり、深い一本道がついている。風雪よけのヨシズが張られているのが、いかにも雪国らしい。人が通るのは通勤、通学時間が多いと聞いて、高校生たちが家路に着く午後3時過ぎ再訪した。時折、うなりをあげて襲う風雪に耐えるかのように、みんな足元だけを見つめ、キュッキュッと雪を踏みしめ黙々と渡っていった。素早く撮影しないと、レンズがあっという間に雪で曇ってしまった。

☆藤村も 描いた冬の 厳しさよ

☆灯篭や 雪帽子 重たかろうに

☆人けなし 雁木通りの 寂しさよ